僕が写真や絵に求めるものは、目に見えないものを感じる事が出来る様に作られている事。人為的な作業が加わるという事は、そこに何らかの意図があり目的が必ずあっていいはずで、自然や動物の本能などとはまた別の試行錯誤や意図が汲み取れるものだと思います。
元々は絵を描く事が好きで、本気で画家やイラストレーターになれるかな?と考えた事もあったけど、海外に出てみて自分の立ち位置がはっきり分かり諦めた事があります。
絵と写真って構図・構成といった白紙の淵がある中にどう当て込み書き出すかといった面でとても似ていると思います。異なる点としては、写真はどうやったってそこにあるものしか写し出せないけど、絵は想像力次第で書き出す事が出来ます。
ただそんな絵画であっても忠実に写実的に表現する事でアートを見直しているゲルハルトリヒターというアーティストが大好きで、個展を見た時にモネ以来のココロ震える感動があった事を憶えています。
さて、今回はそのゲルハルトリヒターとは違いますが、彼に似たアート性をもったスペインの画家ジョアン・フランシスコ・カサスをご紹介。
まずはざざっとその作品をご覧ください。
これ、全てボールペンで描かれたもので、その描写性と構図の取り方、そして何より写実的にわざわざ絵に起こすという作業の中で、絵のこちら側にこれだけズシンと伝わる瞬間を描いている事に意味があると思います。瞬間を留めておく事が出来るからこそ、その利点を存分に活かす為に選ばれているだろうタイミング。
実際にただ止まっている静物画を切り取るよりも、動きのある瞬間的で生活感のあるものの方が見る側にも親近感があり通ずるものがあるなーと感じさせられるアーティストでした。
現在では一枚数十万円で取引され著名人の間で売買されるほどらしいですが…元々は油絵のコンテストにボールペン画で応募したのが始まりだそうです。もちろん技術的にも素晴らしいとは思うけど、その意図する作品を残している事が何より素晴らしいと思います。余談だけど彼は1つの作品を仕上げるために、約2週間をかけ平均14本のボールペンを使うとのことです。すごい量ですね…
以上、また気になるアーティストがいたらご紹介します!
旅と生活と写真|a_LIFE 菊川 貴俊