昔から色々な畑のカメラマンを面接したりとお話を伺う機会が多かったのですが、今年度になっても嬉しい事に様々な撮影業界からお話を頂きます。その際に、当カメラマンの撮影媒体の事情(どんなカメラマンがいるか、必要なスキルはどんな事か)をそれとなく伺っています。
様々な畑があるカメラマン業界ですが、話を伺っているうちに共通点が3つあり、今回はカメラマンとして活躍されたい方に向けて、どの畑に出向いても恥ずかしくない様にまとめましたので、ぜひ参考にしてくだい。
1. 目分量でその場の露出が把握できる。
これは基本スキルになると思いますが、例えば室内での適正露出と室外での適正露出を露出計で測らずとも一先ず分かります(当然設定はマニュアルで行います)。
ここで畑によってどの設定を中心に考えるか分かれてきますが…スタジオメインの畑で撮影しているカメラマンはシャッタースピードを固定して絞りは絞り気味、ISOでバランスを取る方が多いです。婚礼などスナップ(動いている状態を撮る)畑のカメラマンは撮りたい画に合わせて全ての設定をバランスよく変えて撮影するようです。何を中心に(目的として)適正露出を考えられるかが非常に大事になりますので、ただマニュアルで綺麗に撮れた!というのでは不正解です。
この基本スキルを身につけるのはとても簡単です。ふとした時にその場で写真を撮るならどういった設定が適正露出かを考えてみればいいのです。またスキル編で詳しくまとめますが、例えば「会社で向かいに座っている人を格好良く撮りたい」という目的にそって考えてみます。まず背景をぼかした写真にしたいので絞りをF2.0とします。基本的には止まっている被写体なのでシャッタースピードは1/100で大丈夫でしょうから、あとはISO感度を400前後にすれば適正露出になるはずです。こういったイメージトレーニングを様々な場所で行ってみましょう。自ずと目分量で適正露出が測れるようになるはずです。
2. 個人事業主として仕事を行っている。
カメラマンの方は圧倒的に個人事業主として働かれている方が多いです。地元密着のスタジオ写真館でも個人事業主のまま働かれている方もいらっしゃいます。つまりカメラマンとしてフリーカメラマンとして働くのであれば法人に守られる保証は捨てた方が良いかと思います。
3. クライアント側の意向を考慮した上で、自身の撮影術を取り入れる。
最近の傾向としてクライアント側の意向が多面的、絶対的になっているという事を耳にします。デジタルカメラや編集ソフトが安価で買えてしまう時代ですから、撮影に対する知識はなくとも編集や様々な作品を通して目が肥えているクライアントが増えているのが現状です。10年ほど前までは、カメラマンのライティングや知識が絶対でしたが今はそれも通用しなくなり、意地っ張りなカメラマンは淘汰されています。カメラマンと呼ばれる人は五万といますから。
クライアントが存在する撮影の場合、意向を汲んだ上で、自身の技術を入れ込む事が大切だと思います。しかし技術以上に人柄が買われる事も決して忘れてしまってはいけませんが…
ちなみに撮影業界の”畑”についてウエディングカメラマンの視点からまとめた記事もありますので合わせてお読み頂けると分かりやすいと思います。
20人のカメラマン面接と指導をして思うプロカメラマンとしての3つの常識。
旅と生活と写真|a_LIFE 菊川 貴俊