20人のカメラマン面接と指導をして思うプロカメラマンとしての3つの常識。

 僕はプロのカメラマンとして結婚式やフォトウェディングと言われる前撮りなど、年間200組ほどのご新郎ご新婦様の撮影をしてきました。もちろん被写体であるお二人やゲストについて思う事もあるけど、それをまとめる以前にプロカメラマンという職業についてこの撮影業界に入って感じている事が3つの常識を提示しておきます。

 これはプロカメラマンになりたい人にとっても、ウェディングカメラマンになりたい人にとっても意識すべき事になるはずです。

 

1. 一眼レフを使ってお金をもらった時点でプロである。

 カメラマンには医師や調理師、教員のような資格や免許がありません。したがって「フリーカメラマンです」と言う肩書きは誰でも持つ事が出来ます。スポーツ選手と同様に企業と契約をしている人やスポンサーがついている人など著名で突飛なカメラマンほど公になりますし、個人事務所やスタジオを構えたり法人化したり代表取締役になる事もありますが、言ってしまえば多くの人が「フリーカメラマンです」

 しかし、仕事で撮影を行いお金をもらった時点で「プロカメラマン」になります。プロカメラマンと言えど幅が広く素人に毛が生えた様な僕から見ても唖然とする事もありますが(詳しくは下記2で紹介します)、金銭が発生するのであればプロである自覚を持つ必要があります。

 いち早くとりあえずプロカメラマンになりたいのであれば、お金をもらって撮影をする事です。その実績を作っていく事がプロカメラマンとしての軌跡となっていきます。その軌跡を良いものにするか…ただの自己満足にするか…それがカメラマンとしての幅となっていくはずです。

 

 

2. プロカメラマンとは言えども全てを叶えてはくれない。

 単純にカメラマンと言っても育った庭によって本当に考え方や出来る事が偏っています。いくつか箇条書きにしてみました。

 

・スタジオカメラマン(雑誌広告等)

旅と生活と写真_studio

 室内でストロボを駆使して撮影をする為、スタジオの機材慣れしている。物撮影も多いため、カメラマンの傾向としてはこだわり派が多く、対人関係が苦手。また撮影時に絞り気味(F値10前後)で行うため開放で撮影する事に恐怖を感じている。あと処理で加工する為、構図を作る事が出来ない。写真のイメージとしては写真館の写真や雑誌などの商品写真。

 

・報道カメラマン(新聞や週刊誌等)

旅と生活と写真_報道 旅と生活と写真_報道01

 必ず欲しい絵を撮影しなければいけないので、露出を合わせどんな環境でも撮影が可能。記者カメラマン同士は現場で会う機会も多い為に縄張り意識が強く、自分たちさえ良ければ良いと言う思考を感じる。連射とストロボを直に当てる事が多く、とにかくしっかり写っていれば良い。写真のイメージとしては新聞の一面であったり最近はネットニュースの写真。

 

・ウエディングカメラマン(結婚式に関わる全て)

旅と生活と写真_結婚式 上記の特徴を足して割った程度の技術になるが、婚礼現場での服装や言動などマナー面を備えていないといけない。詳しくは別記事にまとめます。

 

 と言うように、カメラマンと言ってもスタジオ機材は使えても外で撮影が苦手な人、またはその逆など環境や撮りたいイメージによって得意不得意としている分野があります。「知り合いにプロのカメラマンがいるからお願いしようよ!」と安易に依頼せず、必ずその人がそんな写真を撮っているのか…何を得意としているかを明確に分かった上で相談しないと、出来上がりに驚愕してしまう事になります。

 

 

3. 結局は機材の善し悪し以上にセンスがあるかないか。

 ここ10年で目まぐるしいほどに撮影機材が進化を遂げてきました。以前にまとめた記事で「HOW TO SNAP ⑤|一眼レフカメラを買う前に知っておきたいあれこれ」の中でオススメの機材を紹介しましたが、誰でも綺麗に明るい写真が撮れるようになりました。プロ用の機材をご新郎ご新婦様のご両親がぶらさげて登場なんて事も珍しくありません。結婚式に招かれたゲストが最新カメラ機種を持っている事はしょっちゅうあります。ただ僕はこういった方達に素敵な写真であればiphoneでも負ける気がしません

 これはセンスの善し悪し以上に、いつどこで何が起こるか当日の進行を把握して撮影する絵のイメージが出来ているからです(婚礼の撮影経験値)。

 

DISELTRIBUTE

 最近の写真業界のニュースに「有名ファッションカメラマンがDIESELの広告をiphoneで撮り発表」と合ったようにスマートフォンの機能でも写真として申し分ないものが撮れるのです。当然ながら前提としては写真の知識やライティング技術がなければ、これらの広告の様な光を作り出す事は難しいと思います。

 あとは誰もが素敵だと思える写真を撮れるセンスなのだと思います。センスよく見せようと訳の分からない構図で撮ってくるよりも、伝わる瞬間を撮り収める事を意識しましょう。

 

 ちょっとした意識で目に見えて写真が変わるアドバイスを「How to snap」でまとめていますので、簡単な事からぜひはじめてみてくださいね。

 

HOW TO SNAP ⑤|一眼レフカメラを買う前に知っておきたいあれこれ
HOW TO SNAP ④|スマホでも出来る!まるでプロの写真になる!たった2つのポイント!
HOW TO SNAP ③|自分主体で撮る写真!手っ取り早くマニュアル操作を憶える方法!
HOW TO SNAP ②|マニュアル設定で撮らないなら、写真はiphoneで充分!
HOW TO SNAP ①|素敵な写真を撮りたい!

 

 次回はウエディングフォトグラファーの特徴や種類についてまとめます。お楽しみに。

旅と生活と写真|a_LIFE  菊川 貴俊