ここ最近、朝と夜に毎日お茶を急須で濁し飲む習慣が出来たのですが、お茶というのは本当にホッと出来る風味があります。もちろんコンビニなどで売っているペットボトルで喉を潤すのも良いのだけれども、茶葉にお湯を注ぎじわじわとお茶の成分が溶け込む事を想像しつつ口にする時ののど元から食道に通う感覚が癖になるのです。
そんな折、いつもの様に六本木ヒルズにあるインテリアショップ“BALS TOKYO”に立ち寄った際に職人の手で施されたいくつもの素敵な急須を目にしたので紹介させて頂きます。それぞれの職人の感性や持ち味を、それぞれの急須で入れたお茶を飲む時に幾分にも想像をかき立ててくれます。
— 梅原 タツオ —
愛知県常滑の三代北龍。伝統的な技法ながらもシンプルでモダンな作風が特徴的です。松の枝を急須の表面に転がして模様をつける技法「松打ち」や土内部の鉄分反応によって漆黒色の急須が多く見られます。
— 岩瀬 弘二 —
愛知県常滑の西御堂窯。渋味が抑えられると言う絹朱泥を使用し、柔らかく淡い朱色と急須の肌触りは絹の様なさらりとした感触の急須が多く見られます。
— 鋳心ノ公房 —
鋳金家でデザイナーでもある増田尚紀氏の作品。鉄製の急須ながらも丸みがあり美しいフォルムと様々な斬新な着色が特徴的。国内外の展覧会に出展、多くの受賞歴とニューヨーク近代美術館MoMAなど各地の美術館や博物館に所蔵されているそうです。
— 岩清水 久生 —
鋳鉄作家。南部鉄器を使用し海外でも評価が高く、伝統的な技法を守りつつも新たな質感、独創性あふれるスタイルで「焼き肌磨き仕上げ」技法と日本の「用の美」文化を表現されています。
ご紹介させて頂く上で色々と調べているうちに、日本独特の文化や手法が海外でもしっかりと評価されている事に驚きました。日本工芸は地元に根ざしたものが多く、文字通り土地柄が良く現れている様に感じます。
ただお茶を飲むと言う行為ひとつを取っても、その道具の歴史や職人の想いを汲んで味わうとより深みを感じる事ができますね。